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構造医学のヒト構造で診る治療用義歯を用いた総義歯治療~総論~

構造医学のヒト構造で診る治療用義歯を用いた総義歯治療~総論~

2021.07.09

総義歯学において力学の重要性は高い。著者の八戸氏は治療義歯を通して患者の姿勢変化や目の輝き、顔貌変化を観察する中で、上顎を含む頭蓋頚椎と下顎の正しい位置関係を作り出すことが、その患者固有の生理的な頭囲を導き、それによってさらには頭蓋頚椎と体幹との正しい位置関係をも導きうるとの考えに至った。
また、歯を失い無歯顎になると咀嚼運動に重要な役割を果たす歯根膜の受容器も失い咀嚼運動に大きな影響を与え、その機能回復に総義歯治療が行われるが、その感覚入力は複数の受容器の組み合わせによって求心性に供給され入力として、中枢で統合されるものであることを踏まえ、八戸氏は無歯顎になって喪失した歯根膜の受容器を代償する受容器は、総義歯とインプラントで各々異なり、その組み合わせも変化することから、それに応じて咀嚼のメカニズムも変わることを指摘した。

< 出典 > 著 者:八戸 正己(歯科医師・北海道)
掲載誌:第二一回日本構造医学会 大阪学術会議 論文集, 2016.10.23


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