日本構造医学会の活動をご紹介いたします。

日本構造医学会

日本構造医学会とは

日本構造医学会は、構造医学に対する正しい認識とその普及により、質の高い安全な医療を通して社会に貢献することを目指し、医師/歯科医師/薬剤師/柔道整復師/鍼灸師/按摩・マッサージ・指圧師を中心に、現在約1200名の学会員が登録・活動しています。
また1995年より、構造医学に基づいた臨床報告や研究発表を目的とした正規学術会議を1年に1度、11月頃に開催しており、医療者を中心に理工学者や農家など多彩な会員が闊達に議論する場として年々評判を集めて参りました。当学術会議の特色として、英文でなく日本語を基調とするなど、形式に囚われぬ自由な視点で議論を深めることを重んじてきたことから、発表者は多様性に富んでおり、過去には患者自身がプレゼンテーションを行った事例や、構造医学が生態系に関わることから農業従事者による有機農法の報告が行われたこともあります。例年多数の参加者が集い、これほど広く門戸の開かれた単一の学会は類を見ないでしょう。

入会に関しても当学会は“開かれた学会”を目指しており、形式や硬直性を排し、資格等の要件はありません。
資格・専門・学歴障壁は取り去られ、様々な分野で活躍される会員からの発表や、実態を踏まえた現場からの提言がなされ、多くの会員の皆様にとって医学的士気を高める場となっています。
近年は意欲的でユニークな報告や、臨床者としての歩みを総括し心に訴えかける発表が多く聞かれ、1200名の学会員を擁する本学会の土壌はますます豊かになりつつあります。

日々の経験や気付き、研究の途上で生まれた些細な疑問を、是非この日本構造医学会の場で発表してみませんか?
正規学術会議で発表された一般演題の本稿は、「日本構造医学会 学術会議 論文集(本稿)」として開催会毎に発刊し、国の主管する国立研究開発法人科学技術振興機構の正規論文として収蔵されています。また構医認定制度の10単位(発表6単位+学会参加4単位)が付与されます。(発表論文は日本構造医学会理事会と編集委員会による査読を受ける必要がございます。)

論文集は日本構造医学会への会員登録が無い場合も購入可能です(非会員誌価にて取扱い)。
日本構造医学会学会員になりますと、会員証が発行され学術会議に参加可能となり、例年8月中旬以降には、その年開催される学術会議の案内と演題発表要旨が掲載された抄録集が送付されます。

学会創設の意味

日本構造医学会 理事長 吉田勧持

私は澤瀉久敬先生がよく言われていた「病気を診るのではなく病人を診るのだ」という言葉に感慨を受けており、構造医学を創始しようと思い立った際、その「病人を診る」ということについて議論をしておかなければ、我々が個々に対応する問題のもたらす意味がわからないという、非常に大きなテーマが絡んでいると考えました。

現状、在野におかれる先生方が編み出された独自の診療方針や治療法は個人技として扱われ、一般の医療の公共性との間に齟齬が生じる場合があります。しかしその中には、将来的にある種の疾病に対する突破口となり得るものも存在しており、その存在は一体如何なるものなのか議論し発見する場が必要なのではないか。さらにその議論において共通の価値観が生まれるのであれば、それは先々、公共の診療として承認され得るのではないか、とも考えました。
一般的にこのような議論は、公共性のある政府や政府機関等によってなされるものでありますが、在野における我々の立場からすると、日常の診療行動について全て否定された場合、行使できる手段が絶たれますので、自前であっても「学会」という形の場でまず議論を行う必要があると考え、学会創設に至りました。創立当初は円卓会議という、議論を深められるスタイルから始め、会を重ねる毎に、その目的に対して一歩ずつ踏み込んで参りました。

そもそも、疾病の基礎を形作るもの、あるいは基礎的な共通項とは一体何でしょうか。地球における生命体であれば重力も一つの大きな要素になります。また、ヒトに特有の疾病形態もあります。それはヒトが、音楽を楽しみ、芸術に触れるなど、他の生物とは異なる生命活動を営むに加え、多様な価値観を持つ生命体である故です。その生命体がある特有の病気をするわけで、その因子には社会的圧力や個々との軋轢など様々な要素があり、特有の内部変換がなされ、ついには疾病という形態を生み出す背景があるのです。これはヒトが、未来の価値をも内包して生きている証でもあります。こういったヒト特有の疾病について、皆で議論する必要があると思っております。

先生方の大半は少数の学会に所属しているか、中には全く所属していない方もおられます。しかし自分だけ、単独・個人の思い込みにて自己満足的診療がなされていることがあり、これは必ずしも患者さんの利益に供していない場合があることも知っておく必要があります。提示された成果は事実の検証がなされていないどころか、大きな問題をひき起こす因子となり得るものかもしれません。その認識のためにも、大きな時間と空間の中において、議論が必要であろうと思います。とりわけ少数での議論は独善的になりやすい傾向があるため、ある程度の規格・大きさの学会が作られる必要がある。そしてその参加者は、診療を行使する側の人間、その診療をサポートする人たち、その診療を直接受けた人たち、あるいはそれを社会的な部分から観ている人たちという、非常に大きな枠組みで構成されるべきであり、そこで交わされる共通議論が、その時代における重要性を認識させ、未来へ向けた可能性の示唆になるという側面も、この学会で活動する意味であると思います。

多くの方に参加して頂き、自身の思考、志や決意を励起、形成することに役立つことと信じております。

経験の価値共有とさらなる一歩へ

一般財団法人構医研究機構 理事長 林田一志

めまぐるしく変わる環境の中、皆さまは学会(定期学術総会)や研究会に所属しつつ、新しい知見を得て日々研鑽されているのではないでしょうか。私も日本構造医学会のほかにも複数の学会に所属しています。これまでに学会発表を経験してきましたが、そこでの印象としては、どの学会も発表演題数がとても多いことです。このため、学会ごとに発表時間や内容を強い制約があり、発表者の意図することが伝わらないケースがよくみられます。どの学会も、会場が複数に分かれて慌ただしい日程の中、発表者と聴く側との間で内容を共有する余裕がないことをいつも残念に思います。

吉田理事長が創設された日本構造医学会は、発表演者に対する体裁の制約(演題テーマや構成、スライド形式など)はあまりなく、演者自身が取り組んだ課題について語ることができます。このような自由な気風は現行の学会では珍しいことです。また、質疑応答時間では会場の出席者全員が参加でき、自由に意見を述べ、質問することができます。
演題発表の内容は、演者が日々の臨床で悩みながら突き詰めたテーマが多く、セミナーとはひと味違う真剣味が伝わってきます。構造医学という共通の土台の上に立ち、会場ワンフロアで一体となって、一つ一つのテーマを演者と出席者が向き合って検討する。このことが参加者の知恵となり、学会を経た後も個々の臨床の質的向上へとつながってゆくと考えます。学会参加者の感想としては、「臨床での悩みの解決の糸口となった。」「未経験の症例を仮想的に体験する機会に恵まれて良かった。」とお聞きしています。演題発表とは別に座長カンファレンスがあります。各演題内容を深く掘り下げて、価値を共有することにより参加者が成長する機会となります。その成長の糧は、先生方の日々の臨床経験と相まって、家族や縁ある患者さんに役立つことでしょう。
縁あってはじめて構造医学に出会われた方、経験を積んでこられた熟練者の先生方共々に発表演題を共通のテーマに知恵を出し合う機会として、ぜひ参加していただきたいです。

学術会議の様子

日本構造医学会は
学会員を募集しています。

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