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ネフローゼ症候群の一症例

ネフローゼ症候群の一症例

2019.07.31

現代医療は驚くほどの速さで日々進歩しているが、原因が解明されていない病気は未だ多く存在する。著者の配偶者(以下患者)が発病したネフローゼ症候群もその一つであり、これは複数ある病型のうちの1つしか原因は解明されていない。治療法は確立されておらず、また2年以上の長期療養を要する確率も高い。
積極的治療としては、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬を使用する。対症療法としては浮腫を軽減するための塩分制限および利尿薬の使用のほか、腎臓の保護を目的とした降圧薬、コレステロール降下薬などを服用する。

本論文著者の妻である患者は健康診断で尿蛋白の指摘を受け、市民病院で検査を行った。その後尿量の減少や顔や足に浮腫が目立ちはじめ、検査から1週間後、医師により入院を勧められることとなった。
著者は医療者として、症状が落ち着くまでは薬物治療を行い、それから生理的な状態に戻すことを検討したが、患者(妻)と相談した結果入院を取りやめ、構造医学を用いた治療を行うことを選択した。
治療方法は生理歩行や腓腹筋・ヒラメ筋へのリダクター処置および圧迫ストッキングを使用した腹水除去のための治療の他、塩分・タンパク質の制限といった食事療法、頭頚部・腹部・背部の生理冷却である。また発病3か月後から利尿薬を短期間使用した。その結果、1年半後には病を克服した。

この症例報告では現代医療では完治しない病に罹患した患者の治療や闘病の様子だけでなく、身近な存在である妻の闘病生活に寄り添うことを通して得た「診療者として自分がどこまでできるのか」という視座も綴っている。病気を治すのは患者であって、診療者は治すための方向性やその方法を正しく教示することだと著者は述べている。診療者としての活動を進めていくためにも基盤となる自分自身そして家族の健康を保つこと、そのためにも生理的な生活を当たり前のこととし、継続していくことが大切だと結んだ。

< 出典 > 著 者:船越 登紀夫(柔道整復師・大阪府)
掲載誌:日本構造医学会編:季刊構造医学 第43号,2006.6.10
(所属・肩書等は発表当時)

難病情報センター(一次性ネフローゼ症候群(指定難病222)一般利用者向け, 一次性ネフローゼ症候群(指定難病222)医療従事者向け

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