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局所生理冷却と選択的脳冷却について

局所生理冷却と選択的脳冷却について

2020.03.06

構造医学40周年のあゆみの中で、一貫して重要性を訴え続けてきた局所生理冷却、とりわけ選択的脳冷却について、吉田所長にお話を伺った。

構造医学のすすめの中で、特記すべき事柄についてお話ししたいと思います。ドクターフェイによって指摘された脳への冷却の試みは構造医学の生理局所冷却の考え方とマッチし、しかも基本的身体の制御システムである脳機能の混乱を鎮静するためには重要な役割を演じていることは間違いありません。私どもは、脳冷却システムを構築しようと基礎研究から応用研究の成果をまとめて実用化を図った困難な時期がありました。
そして世界初の、高レベル選択的脳冷却(脳低温療法)の実現が可能となった医療用具承認をも得たクライオサーミアが誕生したのです。

クライオサーミア

固有の脳疾患や全身の疾患、あるいは感染症や遺伝形質に由来する疾患、さらには外傷等による損傷を含め、脳機能の保全は我々人類が機能的生活を営む上で不可欠な要素を含んでおり、今後も必須の領域であることは論を待ちません。

また、社会病理の中で社会システムと個人との間における適応齟齬の問題を考える上でも、さらに心身バランスの仕組みの中に選択的脳冷却の意義はいかほど大きいものかと確信しております。

今後も、選択的脳冷却(脳低温療法)の意義はますます大きくなっていくものと考えておりますが、財政規模上の問題もあり、再構築にはいましばらくの時間的猶予が必要ではないかと考えているところです。

米国をはじめとして、世界的には癌などの化学療法後遺症や精神疾患、さらには脳神経内科的活用などが実施されているなど、現代医療の重要なパーツとなりつつある他、治療法の無い疾患への応用が考慮実施されているので、少しでも福音となればと考えております。

なお、疾病の治癒に関しては、システマティックレビュー、EBMピラミッドが示すように完全なる治療法は、世の中には存在しません。ならば、少しでも良好な方法を検討し、各識者が協力し合って最適解を得られるよう努力し続ける必要があると思っております。
会員諸兄にあっては、局所生理冷却法の意義をもう一度学び、熱破壊・フリーラジカル・素粒子乱舞などによる身体機能の棄損に対してその活用の道を自覚され臨床に活かすことを、そしてご自身の管理に用いられることを望んでやみません。

冷却システム

日本構造医学研究所所長

吉田 勧持 (理博・医博)

専門はプラズマ・界面物理・臨床解剖学。主に物理・工学・医学を学際領域とした構造医学を創設し、40年近く臨床を続ける傍ら、数々の研究を行う。教育活動にも熱意を持って当たっており、80年代より構造医学の正規講座ではのべ2万人近くを指導する。 1148名の学会員を擁する日本構造医学会理事長。空手道8段。