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施設内における心肺蘇生体験(現況における胸部圧迫蘇生法の問題点)

施設内における心肺蘇生体験(現況における胸部圧迫蘇生法の問題点)

2020.05.28

「心肺蘇生時の合併症に関するアンケート調査」※1によると回答者の85%が合併症を経験しており、心停止において迅速なCPRが予後を改善することは明白だが、合併症は熟練した医師でも発生するという。

本論文著者は自施設内で意識を喪失した利用者に対し構造医学で学んだCPRを行い、蘇生へ導いた。
構造医学におけるCPRの大事なポイントは以下の通りである。
・気道を確保する際、後頭切痕に剪断力が加わらないように、頭頂から押して額を上げる
頭頂を押さえる力を利用し気道確保
アゴを持ち上げて気道確保しない
・人工呼吸は必ずしも行わなくてよい。理由は胸郭運動のみで十分に換気できるため。
・いきなり速く強い胸骨圧迫を始めるのではなく、まずはゆっくりと両手で胸郭中央部を押圧する
胸郭の弾性に応じゆっくり押圧開始
いきなり最高速で強く押圧しない
・胸骨圧迫は1分間に〇〇回以上と回数や速さを目的とせず、相手を侵襲しないように胸郭の弾力にそって深く押圧する
 →その意義は停止した流体ポンプ機能の再起動と胸郭損傷の防止である

・(補助者がいる場合)足底部を持ち、ミルキングアクションを行い、腓腹筋ポンプ作助による血液還流促進する。やむを得ない場合は足を挙上位に保つ。

本論文では、構造医学のCPRを実施した際の所感、その経験を踏まえた一般的ガイドラインへの疑問点について報告されている。

なお著者はこの発表後、短い期間で心肺蘇生2例目を経験することになった。この例では圧迫中に突如胸骨が沈まなくなる経験をし「自分の中で真実を見分けることが非常に難しかった」という。その報告は令和2年11月1日(日)の第25回日本構造医学会、グランキューブ大阪にて予定。
< 出典 > 著 者:牛田 恭司(柔道整復師・富山県)
掲載誌:第23回日本構造医学会 大阪学術会議 論文集,2018.11.23
(所属・肩書等は発表当時)

< 参考 > ※1 心肺蘇生時の合併症に関するアンケート調査

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