発表冒頭ではまず、重度の交通事故外傷を受傷後、残存症状に苦しみ来院された患者に対面したときの、状態の酷さに対する恐れと、11軒も断られてきた患者に手を差し伸べたい臨床家としての葛藤が率直に明かされた。治療の覚悟を決め、生理潤滑を再構築し、生理的回復を目指した処置の記録が、整復処置・日常生活等指導・各運動療法に分けてスライドを交え発表された。
参加者から苦労した点を尋ねられると後藤氏は「通院終了までに左の股関節の症状を除去しきれなかったことが心残りだが、患者様からはむしろここまで治してくれたことに対する感謝が述べられ、臨床家として逆に救われた思いだ」と答えた。
また、発表を聞いた吉田理事長は顔面浮腫が事故後かなり経過しても残っていた点に触れ「神経核(三叉神経核)の障害が表出している可能性があり、急展開・悪化するケースがあるので、冷却を絶対に怠らない事」と注意喚起していた。