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自己免疫性肝炎における構造医学的アプローチの効果

自己免疫性肝炎における構造医学的アプローチの効果

2020.01.31

慢性肝炎のうち、ウイルス以外が原因の症例は10%以下という。※1本論文はその10%以下に該当する自己免疫性肝炎に対する構造医学に基づく治療報告である。
自己免疫性肝炎とは、ウイルスに感染していないにも関わらず自身の肝細胞を攻撃し発症する難病である。遺伝性はないが、原因は不明で中年以降の女性に多く見られる。※2

本論文中の患者は著者の身内であり、20年もの看護師経験をとおして、一般的な治療法であるステロイド剤による副作用の怖さはよく知っており、不安を覚えていた。担当医との治療指針では服薬せず安静にし、ウルソ(胆汁酸の一種)投与による経過を見て、1週間後に再検査(結果次第では入院)することになった。
同時に、著者によるリダクター処置、WBの面圧整復および肝臓への氷冷却という構造医学による治療を開始した。

1週間後の再検査では肝機能の検査値は下がっており、そのまま経過観察となったものの、その後の検査では再び数値が上昇し、担当医からは入院とステロイド剤による治療を強く勧められた。患者は入院を拒み、ウルソの投与量を増やして引き続き著者による治療を継続することとなった。
その後、リダクター治療をとおして胸腰移行部付近の筋肉の硬結がなくなるとともに検査値は正常値に戻っていき、その下がり方に驚いた医師から何か他に治療をしているか尋ねられた。

一般的な医学的知識では、冷やすと血管が収縮し血行が悪くなると考えられており、氷冷却の効果に対する理解は得難い。しかし肝臓疾患にもそれが有効であることが早く認知されることを待つのみであると結んでいる。

生体メカニズムの理解に基づく判断や忍耐の重要性について認識させられる論文である。

< 出典 > 著 者:吉田 雅弘(柔道整復師・福岡県)
掲載誌:日本構造医学会編:季刊構造医学 第39号,2005.6.10
(所属・肩書等は発表当時)

< 参考サイト > ※1 一般社団法人日本肝臓学会 学会発行紙「肝臓病の理解のために」
※2 難病情報センター 自己免疫性肝炎(指定難病95)

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